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全米で活躍する日本人NP―胎動する新時代の看護(下)(医療介護CBニュース)

 米国では、1960年代にナースプラクティショナー(NP、診療看護師)の養成がスタートした。当初は米国看護協会や医師会からの反発も強かったが、90年代に入ってその役割が広く評価されるようになり、98年を境にNPの診療行為に対する診療報酬上の評価が全州にまで拡大。州政府のNP資格の取得者は2004年時点で、急性期や成人、ファミリーなど11領域で計14万人に達した。また、日本人NPの数も増加傾向にあり、言葉や文化の壁を乗り越えながら、全米各地に活躍の場を広げている。現地で働く2人の診療看護師と麻酔看護師(CRNA)に、米国のNP制度の現状や日本での制度創設に向けた課題について聞いた。

【複数の写真の入った記事詳細】


 コネティカット州の内科医院に勤務する緒方さやかさんは一昨年秋、NPなどに関する情報を発信するウェブサイト「チーム医療維新」を開設した。同年春、大分県立看護科学大の大学院が国内初の養成講座を開いたことから、制度創設に向けた議論を活性化する手助けをしたかったという。開設から既に1年が過ぎたが、読者からの反応も上々だ。「留学を目指している看護師の方、将来、看護職に就くことを考えている方、米国のNP課程にいる日本人学生などからメールを頂きました」と緒方さん。

 緒方さんは東京都出身。父親の転勤で米国に渡り、高校時代から在住している。イェール大大学院で看護師(RN)とNP資格を取得後、現在は同州のクリニックで、成人・婦人科NPとして月―木曜の朝から夕方まで、外来患者の診療を行っている。
 米国では、NPの裁量権が州によって大きく異なる。定期的なカルテのチェックなどで医師による一定の監視が必要な州もあれば、NPの開業が許されている州もあり、米国NP学会の調査では、NP全体の4%は開業しているか、開業したNPの下で働いていることが分かっている。一方、薬の処方は基本的にすべての州で可能だ。約半数の州が医師との何らかの連携を求めているが、モルヒネなど中毒性の高い薬の処方についても、ほぼすべての州で許されている。
 こうした州の取り決めが存在する一方、法律上の細かい規定はそれほど多くないという。切開なども各自が十分な訓練を受けた上で、最終的に自己判断で行っているのが現状だ。この点について緒方さんは、「よい意味での“適当さ”が裁量権を広げた」と話す。

■米国のまねでなく、日本独自の制度を

 日本でのNP制度化に向け、緒方さんは、▽患者の声を聞く▽職種間の「縄張り争い」をやめる▽米国のまねではなく、日本独自の制度を考える▽周術期、介護施設、訪問看護など、医師不足の影響が大きい分野のニーズを確かめる―の4点の必要性を強調する。日本独自の制度に関しては、認定看護師(CN)を診療報酬上でより評価するとともに、その教育を厳格化した上で、限られた分野での処方や検査の権限を与えることも議論されているという。

■妊婦以外の女性の基本的な健康サービスも必要

 ペンシルベニア州でウィメンズヘルスNP(WHNP)として活躍する儀宝由希子さんは阪大在学中、著名なWHNPのスーザン・ワイソッキさん(現・全米WHNP協会会長)の講演をたまたま聞いたことがきっかけで、その道を志したという。「当時、関心を持っていた看護学と女性学の両方を見事に結び付けられる仕事だと思った」と儀宝さんは振り返る。
 02年に阪大を卒業し、保健師、助産師、看護師の3つの免許を取得。日本では助産師がWHNPに最も近いと考えた儀宝さんは、都内の愛育病院で助産師としてのキャリアの第一歩を踏み出す。しかし病棟勤務だったこともあり、「妊婦以外の方や妊娠を望んでいない女性のケアにかかわることができず、どこかで学ぶ必要があると感じた」という。同院で4年間勤務した後、ワイソッキさんのアドバイスもあり、米国留学を決意。エモリー大大学院で一昨年、NPの資格を取得した。

 WHNPは思春期から老年期まで、幅広い年代の女性の健康をサポートするのが仕事だ。儀宝さんはこうした経験から、妊婦以外の女性についても、子宮がん検診や月経トラブルの相談など、基本的な健康サービスが必要だと訴える。日本でNP制度を導入する際も、「日本の医療者がまだ十分に対応できていない女性の基本的なニーズを満たす担い手として、WHNPのような専門職の担う役割は非常に大きい」と強調する。

■「寄り添う」から「自分で判断し責任を取る」へ

 CRNAとは、術前麻酔診察、麻酔計画の作成、麻酔の導入・維持・離脱、麻酔回復室でのケアなどを行う看護師のこと。それらを麻酔科医の監督下で行うかどうかは州や病院によって異なるのが実情だが、現在、カリフォルニア州でCRNAとして働く岩田恵里子さんによると、麻酔科医と同等の麻酔業務が行えるよう訓練されているという。

 岩田さんは看護師として都内の聖路加国際病院に勤務していた20歳代の時、米国帰りの先輩の影響で留学を考え始める。日本にいながら独学で米国のRNの免許を取得し、1995年に渡米。しかし当時は、看護学士(1年)と看護学修士(2年)の学位を取った後、すぐに帰国する予定だったという。それでもCRNAを目指したのは、米国で急性期看護の世界に「魅了された」ことに加え、上級実践看護師(APN)の中で最も自律度が高いといわれているからだ。岩田さんは、「自分の判断で治療し、その治療の結果を診る。そこにやりがいがある」と言い切る。

 日本人看護師が米国で働くことについて、岩田さんは「言葉の壁がなければ、頭脳的には全く問題ない」とする一方、日本での制度創設に関しては、次のようにアドバイスした。「米国では、看護の目指すものが日本とかなり異なる。米国の現場では、医師と対等に話ができなければ駄目。『寄り添う』や『医師の補助』ではなく、『自分で判断し責任を取ること』が求められている」。

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 看護師の業務範囲拡大などについて議論するため、昨年夏に厚生労働省が設置した「チーム医療の推進に関する検討会」。年内に8回の会合を開き、予定していた関係者からのヒアリングをすべて終了したが、NP制度化に関するこれまでの議論を振り返ると、不毛な話し合いと映る場面も多かった。「看護とは」といった職業観をめぐる論議もその一つだ。「看護師はキュアの領域に入るべきではない」と、自ら門戸を閉ざす発言もあった。
 しかし、歴史をひもとけば、60年代の米国でも同様の議論があったことが分かる。「縄張り争い」が米国のNPの発展を妨げたと言う緒方さんは、「(日本で)そんなことをしている時間はない」と警鐘を鳴らす。

 一方、NP教育の平準化を進める日本NP協議会も一枚岩ではない。その背景には、やはり「看護観」の壁がある。取材した大学の中には、キュアを連想させる「NP」という言葉に過度な“アレルギー反応”を示すところもあった。こうした現状について、昨年春にNP養成課程を設置した国際医療福祉大大学院の湯沢八江教授は、「(NPが)医師に対して、『違う立場にある』ということを主張したがっている」と厳しく指摘する。「(医療の質を担保できるのであれば)医師を助ける役割でもいいのではないか」と湯沢教授。

 医師・看護師不足、病院勤務医の疲弊、地域医療の崩壊…。今、医療界には問題が山積している。同検討会では今後、3月の報告書作成に向けた詰めの協議に入るが、医療事故の防止、地域医療の再生、医療資源の効率的な活用など、より幅広い視点で制度化の是非を論じる必要がある。
(この連載は敦賀陽平と妹尾ゆかりが担当しました)


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